甲子園を倒す
私には野球コーチとしての夢があります。
それは「甲子園に勝つ」ことです。
エビバリィセイ…
ハアッ?
そんなわけで今日はちょっと未来の夢の話をしましょう。
■アメリカで見えた野球の景色
私は大卒3年目のときに高校教師を辞めて野球コーチとして食っていくことを決めました。
そこでまず自分のコーチング力を磨こうと思い、行動に移したのが「アメリカ野球研修」でした。
#人生の転機
いろんな人に支えていただきながら単身でアメリカ・ニュージャージー州へ行き、High Heat Baseball 新谷伸明コーチにお世話になりました。
#クソお世話になりましたドドン
毎日刺激的な日々でした。
日本と大きく違う、アメリカの野球少年たちのスタンダードな「プライベートレッスン」という空間や練習の仕方、球場の雰囲気、チームの在り方、コーチの在り方…。それぞれを話し出したら長くなるのでまた分けてお話したいと思いますが、いろんなところが日本のそれとは違っていて、とてもタイムリーに日本の野球界の問題との対比になって見えました。
それがひとつ前述した夢の「甲子園に勝つ」につながるんですが…
■大会のためにつくるのがチーム
先にアメリカの野球事情を説明すると、基本的にアメリカには日本の甲子園のように「全米大会」とかの規模でおこなう大会はありません。
そういう大会が無いもんだから「チーム」というものも違ってアメリカでは基本的に「大会に参加するためにチームを作る」のが一般的です。
日本は、と言えばチームが先にあって「じゃあ来月の大会に向けてまた頑張るか」とか「チームの目標としてあの大会で全国に行こう!」とかになってくると思うんです。チームが先で大会が後。
アメリカはコーチやアカデミー(グラブみたいなもの)が外部に向けて「来週のトーナメントに参加するので参加希望者カモーンヌ!」と募集をかけてセレクションをしてチームを作ります。そして大会に参加して大会終了と同時に解散。
これ、何が良いかと言うと「選手が選び放題」なんです。
何が選び放題かと言うと、まず出場する大会を選べます。
結構大会によって細かいルールが違ったり、レベルが違います。レベルの高い大会には例えば有名大学やメジャーリーグ関係のスカウトが目を光らせてやってきます。逆にレベルの高くない大会なら初心者でも安心して参加できます。
自分の今のレベルや目指す方向によって出場したい大会を選手ひとりひとりで選ぶことができます。
次に選び放題なのが「チーム」ですね。ここには「コーチ(育成)」や「チームメイト(コミュニティ)」があります。
どういう環境で野球がやりたいかの選択肢は常に選手にあるんですね。最近では日本でも「プレイヤーファースト(プレイヤーを第一に考えて大切にしよう)」なる教えが浸透してきましたがアメリカではシステムから違うんです。だからそのコーチングが生まれるんです。
コーチの立場から言えば、集まった選手たちに十分なコーチングができなければ次の募集で選手が集まらない=食いっぱぐれる可能性があるという危機感があります。だから野球が上手い・下手なんかで選手を優劣付けないんですね。
コーチングがとにかくめちゃくちゃ丁寧です。もう、むっちゃくちゃ丁寧です!
例えば「均等に出場機会を与える」と言ってもゲームになったらそうはいかない場合もあるじゃないですか。勝つことってやっぱりスポーツする上では大きなモチベーションになるわけで、大事な場面では勝利のために選手起用を判断することがあります。
そうすると、信頼できる選手に役がまわる一方で未熟な選手は機会を奪われてしまうわけですね。
#ワークバランスって難しい
そんな時にコーチはどうしているかというと、自分は下手で使われなかったって分かってる選手のところへ行って「次は同じ場面でお前を出すぞ」って言うんです。泣けます。それ、親の前で聞こえるように子どもに言うんです。親にコーチのそんな言葉聞かれたら10歳の男の目に火が灯るんですよ。やってやろうって。
コーチングスキル的には「アフターケア」っていうんですがそれがむちゃむちゃマメなんですよ。
それが「選手がコーチを選べるメリット」と「真のプレイヤーファースト」だと思います。コーチのプロ化(仕事としてコーチをする)の必要性ですね。
■甲子園に勝つ
大会のために参加する「単発チーム」って形は日本にはそう無いですね。いわゆる「通年チーム」で入団から卒団までずっとプレーするわけですが、私の理想はその「通年チーム」と「単発チーム」のハイブリッドです。
通年チーム(例えば部活とかもそう)に所属しながら、自分のニーズによっては「単発チーム」に個人的に参加して経験を積む。
その大会の価値が上がっていくことで「甲子園よりも価値を残す大会」を作りたい。
「甲子園よりも価値を残す」ってどういう意味かというと…その前に言っておきたいんだけど私、甲子園も高校野球も学生野球大好きなんです。
好きだからこそ、価値を残したい。
今高校野球は過渡期に来ていて、正直盛り上がる試合って一部なんですね。みんなが「甲子園すごい!」とか「高校野球ってやっぱり面白い!」って言ってくれるのってその一部の試合やストーリー(報道)なんです。
その裏にある多くの試合は、対戦するチームの間にレベル差が開きすぎて、野球と呼ぶには程遠いコールドゲーム(最後までいかずにタコ殴りでKOされるやつ)とかやってます。
各チームのレベル差がある中で同じ大会にかけられ、弱いチームは出場することに価値を見出してなんとか納得するんです。それで終わっちゃうんだから後味悪くして終わりたくないじゃない?…だから「納得」するんです。
これでいいのかっていう議論は昔からされているのに結局のところ「甲子園は盛り上がったしめでたしめでたし」で終わってる。
地方大会で事故並みの試合したチームのことなんて忘れて大会を終えるんです。
だから通年チームとは別に「単発チーム」や「個人参加」での大会を甲子園レベルの価値で開催して、全ての選手の花道にしたいと思ってます。
#やるぞ俺は
甲子園に勝る大会に出場価値を作って、少なくとも野球やって良かったって、全てのプレイヤーに思ってほしい。いや思わせてやる。
今やっているコーチング以上に私の目標としているのは「大会プランニング」なんです。全部そのための布石になったらいいなーなんて頭の中では考えています。
今日もお読みいただきありがとうございましたあぁぁ!
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日米の野球スキルのハイブリッド『タクトtv』野球スキル解説をしています。